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傷あと切除術

傷あとを切除して、
縫い直す

いまある傷あとと、その周囲の変形した皮膚組織を切除し、 正常な皮膚同士を層ごとに縫合して、細い線に置き換える手術です。 傷あとの幅を縮め、向きを変え、高さの差を補正することを目的とします。

はじめに

傷あとが残る仕組み

皮膚は、表皮・真皮・皮下組織の3つの層からできています。 傷が表皮にとどまる浅いものであれば、多くは傷あとを残さずに治ります。 一方、真皮の深いところまで及んだ場合は、 その部分がコラーゲンを主とした線維の組織に置き換わって治ります。 この組織は周囲の皮膚と質感が異なり、色の違いとして残ることもあります。

皮膚の層構造と、傷あとが残る仕組み 皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3層からなり、真皮の深いところまで傷が及ぶと、その部分がコラーゲンを主とした線維の組織に置き換わって傷あととして残ることを示した図です。 表皮 真皮 皮下組織
傷が表皮にとどまれば、あとは残りにくいとされています。真皮の深いところまで及ぶと、その部分はコラーゲンを主とした線維の組織に置き換わり、周囲の皮膚とは質感が異なる組織として残ります。

つまり、いったんできた傷あとは、放っておいて元の皮膚に戻ることはありません。 切除術は、この線維の組織を取り除き、正常な皮膚同士をあらためて縫い合わせる方法です。

手術の内容

切除術で行うこと

手術台の上で縫合を行う院長。手術用ルーペを装着している
手術は院長が執刀します。手術用ルーペを用います。

手術用ルーペと顕微鏡を用い、皮膚を層ごとに縫合します。 細い縫合糸で断面を精密に合わせる縫合を、当院では「超精密微細縫合」と呼び、基本の考え方にしています。

皮膚の断面図。傷あとの周囲を木の葉のような楕円形に切除する範囲が点線で示され、両側から中央へ寄せる矢印が描かれている
傷あとを含めて楕円形に切除し、両側の正常な皮膚を中央に寄せて縫い合わせます。切除する形と向きは、傷あとの位置と皮膚の伸びる方向によって変わります。
皮膚の断面図。表皮・真皮・皮下組織の各層が縫合されている様子

層別縫合

皮下組織・真皮・表皮を層ごとに縫合します。表面だけを合わせるのではなく、 深い層から順に固定していきます。

皮膚の断面図。縫合部にかかる力が左右へ分散していく様子

張力分散縫合設計

縫合部にかかる力が一点に集中しないよう、縫い方を設計します。 術後は、縫合部に緊張がかからないよう保つことが回復に最も重要です。

縫合したあとの経過を確認するしくみ 皮膚の断面図です。縫合した傷あとを破線で囲み、術後も同じ部位を継続して確認していくことを示しています。特定の治療は描いていません。 経過を確認する範囲 表皮 真皮 皮下組織

傷あと再発抑制システム

術後の経過を見ながら、必要に応じて追加の治療を検討します。 追加の治療が必要な場合は、内容・費用・リスクをあらためてご説明します。再発を完全に防ぐものではありません。

先にお伝えすること

切開線は、いまの傷より
長くなる場合があります

幅のある傷あとを切り取って縫い合わせるときは、傷あとの周囲の皮膚も含めて紡錘形(木の葉のような形)に切除するのが一般的です。 切り取ったあとをきれいに閉じるために、傷あとの両端を少し延長して縫合することがあります。 その結果、縫合線は元の傷あとより長くなる場合があります。

切開線が現在の傷より長くなる場合 幅のある傷あとを切除するときは、その周囲を紡錘形に切り取るのが一般的であるため、縫合線が元の傷より長くなる場合があることを示した図です。 切除する範囲 縫合線 元の傷の長さ 縫合線の長さ
左:いまの傷あと(幅がある)。右:切除して縫合したあと(細い線になる)。幅のある傷あとを切り取って縫い合わせるときは、その周囲を紡錘形に切除するのが一般的です。そのため、縫合線は元の傷より長くなる場合があります。

長さと、目立ちにくさは別のことです

傷あとが目立つかどうかを決めるのは、長さだけではありません。 幅、盛り上がりや凹み、周囲の皮膚との段差、色の違い、そして皮膚のしわに対する向きが関わります。 線が長くなっても、幅が細く、段差がなく、しわの方向に沿っていれば、 見た目の印象は変わることがあります。

手術前に、どこをどれだけ切除し、縫合線がどの向きにどの長さで入るかをご説明します。 納得いただけない場合は、手術を行いません。

向きを変える方法

Z形成術・W形成術

まっすぐな線は視線をたどりやすく、皮膚のしわに逆らう向きだとひきつれの原因にもなります。 傷あとの向きを変えたり、直線を分割したりする方法があります。 どの方法を使うかは、傷あとの部位・向き・周囲の皮膚の余裕によって変わります。

皮膚の断面図。傷あとを挟んで作った2つの三角形の皮膚が、互いに反対方向へ入れ替わる様子が矢印で示されている
Z形成術 傷あとを挟んで三角形の皮膚を2つ作り、位置を入れ替えます。まっすぐな傷あとの向きを変え、皮膚のしわの方向に近づけることを目的とします。ひきつれをゆるめる目的でも用います。
皮膚の断面図。まっすぐな傷あとに沿って、小さな三角形を交互に組み合わせたジグザグの切開線が点線で示されている
W形成術 まっすぐな線を、小さな三角形を交互に組み合わせたジグザグの線に置き換えます。直線は視線をたどりやすいため、線を分割することで輪郭をぼかすことを目的とします。
適応となる傷あとの例

美容外科手術のあとに
残った傷あとも対象です

美容外科手術のあとに残った傷あとも、ご相談の対象です。 外傷や熱傷のあと、何年も前の手術のあとでも、傷あとが落ち着いていれば治療の対象になります。

  • 自家肋軟骨採取の傷あと
  • 胸の下切開の傷あと
  • 脂肪吸引の傷あと
  • 人中短縮の傷あと
  • フェイスリフトの傷あと
  • 帝王切開の傷あと
  • 外傷・熱傷の傷あと
  • 過去の手術の傷あと
  • 自傷の傷あと

元のクリニックに戻りたくない方へ。

どこで受けた手術か、なぜ元の医療機関に相談しないのか、 理由をお話しいただく必要はありません。

お伺いするのは、傷あとがいまどのような状態かということだけです。 必要な情報は、傷あとができた時期と、これまでに受けた治療の内容です。 それ以外の経緯を説明していただく必要はありません。

適応とならない場合

切除術をお勧めしない場合もあります

次のような場合は、切除術をお勧めしないか、方法や時期をあらためてご相談します。 診察の結果、適応外と判断した場合は、率直にお伝えします。

  • 切除した分を無理なく縫い寄せられない場合 切除したあとは、周囲の皮膚を寄せて縫います。範囲が広いと周囲の皮膚がきつくなるため、一度に切除できる大きさには限りがあります。範囲を分けて複数回に分ける方法をご相談することがあります
  • 日常の動きで皮膚が引っ張られる部位 前胸部・肩・下腹部や、関節・首のように動くと皮膚が引っ張られる部位は、縫合したあとの傷あとが盛り上がりやすいことが知られています。切除するかどうかは、縫い方や術後の固定も含めて慎重に判断します
  • 赤み・腫れ・痛みが続いている場合 炎症が残っている段階での切除は、結果が安定しにくいとされています。まず落ち着くのを待つことをお勧めします

範囲が広い傷あとに対して行う方法

一度に切除できない場合に、次のような方法を検討します。 どちらも手術が複数回になり、渡韓も2回以上になります。

皮膚の断面図。長い切開線のうち左半分は縫合され、右半分はまだ縫合されていない断面が見える
段階的切除術 一度に切除せず、範囲を分けて2〜3回に分けて切除・縫合します。1回目の縫合部が落ち着き、周囲の皮膚に余裕が戻ってから次の範囲に進みます。
皮膚の断面図。傷あとの隣の皮膚の下に袋状の組織拡張器が入っており、伸びた皮膚が傷あとの側へ寄る向きが矢印で示されている
組織拡張術 傷あとに隣接する正常な皮膚の下に組織拡張器を入れ、皮膚を徐々に伸ばしたあと、広い傷あとを切除して伸ばした皮膚で覆う方法です。組織の損傷が大きく、範囲が広い傷あとに用います。2回の手術が必要です。費用と日程は、事前のご相談でお伝えします。

手術に適した時期

傷あとは、炎症期 → 増殖期 → 成熟期を経て、形と色が徐々に安定します。 切除術は、この変化がある程度安定した後に行うことをお勧めしています。 一般的には、受傷後およそ5〜12か月以降、傷あとが十分に成熟した時点が適切です。

費用とリスク

治療の内容と、費用・回数・リスク

自由診療です。日本の公的医療保険は適用されません。

術後に組み合わせることがある治療

幹細胞治療

患者様ご本人の血液から、自己血由来の細胞および血小板成分を分離・濃縮して使用します。

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